【小児科医が解説】お家で一人で頑張らないで!「小児の訪問看護」の上手な頼り方と始め方
【この記事の3行まとめ】
- 訪問看護は、看護師さんがお家に来て、お子さんの医療的ケアや健康管理を一緒にやってくれるサービスです。
- ケアだけでなく、一緒にお風呂(入浴)に入れたり、介護するご家族が休む時間(レスパイト)も作れます。
- 「自分でステーションを探さなきゃ…」と悩まなくて大丈夫!まずは主治医やコーディネーターに相談を。
こんにちは。ゆくいこども診療所です。 お家で医療的ケアが必要なお子さんを育てているパパ・ママ、毎日本当にお疲れさまです。
「夜中もアラームが鳴って、なかなか眠れない…」 「吸引や胃ろうのケア、本当にこれで合っているのかな?」 「私以外にこの子のケアをお願いできる人がいなくて、不安…」
医療的ケアが必要なお子さんとの生活では、パパ・ママが24時間、気を張り詰めていることも少なくありません。 でも、お家でのケアを、ご家族だけで抱え込む必要はないんですよ。そんなときに頼りになる最強のサポーターが、「訪問看護」です。
今回は、「訪問看護って具体的に何をしてくれるの?」「どうやって始めるの?」という疑問を、小児科医の立場から分かりやすく解説します。
1. 訪問看護って、具体的に何をしてくれるの?
「訪問看護」とは、看護師さん(時には理学療法士さんなど)がお家を訪問し、お子さんの健康管理や医療的ケア、ご家族のサポートを行ってくれるサービスです。 「家に来て、ちょっと様子を見るだけ?」と思うかもしれませんが、もっとたくさんのことをお願いできます!
- ① 日々の医療的ケアを一緒に支えてくれる
- たんの吸引、胃ろうのケア、人工呼吸器の管理、お薬の管理など。 「最近たんが増えたけど大丈夫?」「胃ろうの周りが赤いかも…」といった日々の小さな不安を、プロの目でチェックして相談にのってくれます。
- ② お風呂(入浴)のお手伝い
- 医療機器がついているお子さんをお風呂に入れるのは、一人では本当に大変ですよね。「お風呂に入れてあげたいけれど不安…」という時、お子さんの安全を確認しながら一緒にお風呂のサポートをしてくれます。
- ③ パパ・ママの「相談相手・ホッと休める時間」に
- 「最近便秘気味で…」「私の腰が痛くて…」といった日々の悩みを相談できる相手になります。 そして何より大切なのが、看護師さんがケアをしてくれている間に「パパ・ママが少し休む時間(レスパイト)」を作ることです。ご家族が元気でいることが一番大切です。
2. 訪問看護で「できること・できないこと」
訪問看護師さんは医療の専門家ですが、お医者さんではありません。そのため、「病気の診断」や「お薬の処方・増減」といった医療行為は単独ではできません。(主治医の指示が必要です)
しかし、お家の様子を見て「いつもと少し違う」「呼吸が苦しそう」と変化に気づき、「家で様子を見ていいのか、病院を受診すべきか」を一緒に考えてくれるとても重要な存在です。
病院の診察室だけでは分からない「お家でのいつもの姿」を知っている医療者がいることは、ご家族にとって大きな安心材料になります。
3. どうすれば利用できるの?【始め方3ステップ】
「使ってみたいけれど、どうしたらいいの?」と最初は分からないことばかりですよね。基本的には、次の3ステップで始めます。
- 【STEP①】まずは相談する
- 「訪問看護を使ってみたいです」と、主治医や病院や地域の担当相談支援員さんに伝えてください。「話だけ聞きたい」という段階でも大丈夫ですよ。
- 【STEP②】ステーションを決める
- 「自分で何件も電話して探さなきゃいけないの?」と心配になるかもしれませんが、大丈夫です!担当の相談支援員さんが、お住まいの地域で小児に対応できるステーションを一緒に探して紹介してくれます。
- 【STEP③】主治医が「指示書」を作る
- ステーションが決まったら、私たち主治医が「訪問看護指示書」というお手紙を書きます。これで情報共有ができ、いよいよ利用スタートです!
4. 訪問看護は、週に何回くらい来てもらえる?
お子さんの状態や主治医の指示によって異なります。
「週1回、体調確認をしてほしい」 「週2回、お風呂のサポートをお願いしたい」 「退院直後で不安だから、しばらく頻回に来てほしい」など、お子さんとご家族にどんな支援が必要か、相談しながら決めていきます。
5. 訪問看護と「児童発達支援」などは一緒に使える?
はい、両方使えます!それぞれの目的に合わせて組み合わせて利用している方が多いですよ。
訪問看護は医療、児童発達支援は福祉と分けて考えるので、別々の仕組みとなります。
たとえば、「お家では訪問看護」に医療的ケアをサポートしてもらい、「日中は児童発達支援」で遊びや発達を支えてもらう、という使い方ができます。 細かい利用のルールなどはありますが、そこはコーディネーターさんや相談員さんが整理してくれるので、全部お任せして大丈夫です!
6. 「こんなことで頼んでいいの?」と思ったら
ご家族から、「このくらいで訪問看護を頼んでいいんでしょうか?」と聞かれることがあります。
もちろん、相談して大丈夫です!
「一人でお風呂に入れるのが大変」「最近夜眠れなくて疲れている」「退院してから家でやっていけるか不安」 こうしたことも、立派な相談理由です。
訪問看護は病気だけを見るサービスではなく、お子さんが「お家で暮らす」こと、ご家族が「無理なく生活を続ける」ことを支えるサービスなんですよ。
最後に、小児科医からお伝えしたいこと
医療的ケアのあるお子さんとの生活は、ご家族の愛情や気合いだけで乗り切れるほど簡単なものではありません。
だからこそ、「自分一人で頑張らなきゃ」と思わなくて大丈夫です。 訪問看護師さん、コーディネーターさん、学校の先生、福祉のスタッフ、そして私たち医療者。いろいろな人の力を借りながら、無理のない生活を一緒につくっていけばいいのです。
最初は、「訪問看護って使えるんですか?」と聞いてみるだけでも十分です。 ゆくいこども診療所でも、かかりつけの医療的ケア児者には訪問看護ステーションへの指示書の作成や、在宅でのケアのご相談をいつでも受け付けています。 お家での生活を、ご家族だけで背負わなくて大丈夫です。一緒に支えてくれる人を、少しずつ増やしていきましょうね!

