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【小児科医が解説】「うちの子は医療的ケア児?慢性疾患?」迷ったときに知っておきたい支援の入り口

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【この記事の3行まとめ】

  • 「医療的ケア児」は病気の名前ではなく、生活するために「医療的ケア」が毎日必要なお子さんのことです。
  • 「慢性疾患」があっても医療的ケアが必要とは限りませんし、両方に当てはまるお子さんもいます。
  • 大切なのは「どの枠に当てはまるか」ではなく「どんな支援が必要か」です。迷ったらまずはご相談を!

こんにちは、ゆくいこども診療所 です。 お子さんに病気や障害があることが分かったとき、親御さんを悩ませるものの一つが「制度や支援の言葉が難しすぎる!」ということではないでしょうか。

「うちの子は慢性疾患があるけれど、医療的ケア児になるの?」 「どの制度が使えるの? どこに相談したらいいの?」

診察室でも、こうしたご相談を本当によくお受けします。 今回は、混同されやすい「医療的ケア児」と「慢性疾患」の違いについて、できるだけシンプルに整理してみますね。

1. まず知ってほしい。「医療的ケア児」は病名ではありません

最初に一番大切なことをお伝えします。 「医療的ケア児」というのは、特定の病気の名前ではありません。

たんの吸引、人工呼吸器、胃ろう(経管栄養)、導尿など、お子さんが日常生活を送るために「日常的な医療のサポート(ケア)」が必要な子どもたちのことを指す言葉です。

ここで大切なのは、「医療的ケア児=重い病気の子」と単純に考えないことです。

必要なケアの内容も、運動や発達の状態も、一人ひとりまったく違います。「元気に走り回れるけれど、栄養はお腹のチューブ(胃ろう)から入れている」というお子さんも立派な医療的ケア児です。

2. では、「慢性疾患」とは何が違うの?

「慢性疾患」というのは、喘息(ぜんそく)や心臓の病気など、長期間にわたって治療や経過観察が必要となる「病気そのもの」を指します。

ここでポイントなのは、「慢性疾患があること」と「医療的ケアが必要であること」は、イコールではないということです。同じ病気でも、状態によって毎日の医療的ケアが必要になる子もいれば、そうでない子もいます。

3. 3つの具体例で考えてみましょう

少しイメージしやすくするために、3つのケースに分けてみますね。

  • 【ケース①】慢性疾患はあるけれど、医療的ケアは必要ない
  • 喘息のため定期的に通院し、毎日お薬を飲んでいる。でも呼吸も食事も自分でできていて、日常的な医療的ケアは必要としていない。
  • 👉 慢性疾患ですが、必ずしも医療的ケア児には当たりません。
  • 【ケース②】慢性疾患があり、医療的ケアも必要
  • 神経や筋肉の病気などがあり、たんの吸引や人工呼吸器が日常的に必要。
  • 👉 慢性疾患であり、同時に「医療的ケア児」でもあります。
  • 【ケース③】病気や事故などをきっかけに、医療的ケアが必要に
  • 事故や後遺症などにより、たんの吸引や人工呼吸器が必要になった。
  • 👉 慢性疾患という枠組みとは別に、「医療的ケア児」として支援に繋がる場合があります。

このように、二つの言葉は重なることもあれば、重ならないこともあるのです。

4. 「どちらなのか」より「どんな支援が必要か」が大切

ここまで読んで、「結局、うちの子はどっちなんだろう?」と悩んでしまったパパ・ママ。安心してください。分類そのものにこだわりすぎる必要はありません。

一番大切なのは、「この子が笑顔で生活するために、今どんな支援が必要なのか?」という視点です。

医療的ケア児には「医療的ケア児等コーディネーター」などの専門家がチームでサポートする仕組みがありますし、慢性疾患には「小児慢性特定疾病医療費助成」などの制度があります。

両方の支援に繋がるお子さんもいます。「どちらか一つしか選べない」というものではないんですよ。

5. 「うちの子は何に当てはまるの?」と悩んだら

制度は本当に複雑です。お子さんの状態や住んでいる地域によっても、使える支援は変わってきます。 ですから、「私が制度を全部調べて、正しく判断しなきゃ!」と抱え込まないでください。

「うちの子には、どんな支援がありますか?」

まずは、この一言を専門家に投げてみてください。

  • かかりつけの小児科医・主治医
  • 医療的ケア児等コーディネーター
  • お住まいの市町村の障害福祉・母子保健の窓口
  • お住まいの地域の「医療的ケア児支援センター」

「どこに相談したらいいか分からない」こと自体が、立派な相談の理由になります。

6. よくあるご質問(FAQ)

Q. 医療的ケア児かどうかは、誰かに「認定」してもらうのですか?

A. 「医療的ケア児」という一つの認定証があるわけではありません。

お子さんにどんなケアが必要で、ご家族が何に困っているかを整理しながら、利用できる支援や制度を窓口で一つずつ確認していく形になります。

Q. 慢性疾患の医療費助成と、医療的ケア児の支援は両方使えますか?

A. 状況によっては、両方同時に使うことができます!

それぞれ制度の目的や基準が違うため、「こっちを使っているからあっちの支援は使えない」と決めつける必要はありません。使える制度はどんどん活用しましょう。

Q. 「うちの子は重症じゃないから…」と相談するのをためらってしまいます。

A. もちろん、遠慮なく相談して大丈夫です!

支援を考えるときに大切なのは「どれくらい重症か」ではなく、「毎日の生活で何に困っているか」です。「こんなことで相談していいのかな?」くらいで、ちょうどいいんですよ。

最後に、小児科医からお伝えしたいことがあります。

「医療的ケア児」「慢性疾患」「小児慢性特定疾病」……。 初めて聞いた親御さんにとっては、難しい言葉に感じるかもしれません。でも、これらはお子さんを枠にはめるための言葉ではなく、必要なサポートを受け取るための「支援への入り口(パスポート)」です。

だから、一人で悩み続けなくて大丈夫です。 「この子が毎日を少しでも楽しく過ごすために、どんな支援があるんだろう?」 そう思ったら、周りの大人をどんどん頼ってください。

ゆくいこども診療所でも、お子さんの病気のことだけでなく、生活やご家族の困りごとを一緒に考えていきます。「何を相談したらいいか分からない」という状態でも構いません。まずは、一緒に頭の中を整理するところから始めていきましょう!

ABOUT ME
宮城 大雅
宮城 大雅
ゆくいこども診療所 所長
3人の男の子のパパで、趣味は子育てと筋トレ。子ども達との遊びをこよなく愛する小児科専門医です。障がい児・者医療に携わり10年以上が経ち、子どもたちが笑顔でいられる医療とサポートを、これからも大切にしていきたいと考えています。
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