医療的ケアってなに?子どもと家族の毎日を支える、大切なケアと相談先についてのおはなし
こんにちは。
ゆくいこども診療所 所長です。
「医療的ケア」という言葉を聞くと、少しむずかしく感じる方もいるかもしれません。
でも実は、子どもが毎日の生活を安心して送るために必要な、身近で大切な支えのひとつです。
たとえば、たんの吸引、経管栄養、酸素の管理など。
これらは特別なことのように見えて、ある子にとっては毎日のくらしの一部です。
沖縄でも、医療的ケアを受けながら、おうちで家族と一緒に過ごしている子どもたちがいます。
今回は、医療的ケアとはどんなものか、どんな支えがあるのか、そして困ったときはどこに相談できるのかを、わかりやすくお伝えします。
医療的ケアって、どんなこと?
医療的ケアとは、毎日の生活の中で続けて必要になる医療的な処置のことです。
たとえば、
- たんを取るための吸引
- チューブを使って栄養を入れる経管栄養
- 酸素の管理
- 人工呼吸器の管理
- 導尿
- 胃ろうや気管切開のケア
などがあります。
もともとは病院で行われることが多かった処置ですが、今ではおうちや保育園、学校など、生活の場で行われることも増えています。
つまり、医療的ケアは、病院の中だけのものではなく、
その子がその子らしく暮らしていくために必要な、生活を支えるケアともいえます。
「治療」だけではなく、「暮らし」を支えるもの
医療的ケアというと、「重い病気」「大変な処置」という印象を持たれることもあります。
もちろん、医療的な支えが必要な状態ではあります。
でもそれだけではありません。
呼吸を助けること。
栄養をとること。
安心して眠ること。
家族と一緒に過ごすこと。
園や学校に通うこと。
医療的ケアは、そんなその子の毎日の暮らしを支えるための大切な手段です。
眼鏡が見えやすくするための道具であるように、
車いすが移動を助けるように、
医療的ケアもまた、その子が安心して生きていくための支えのひとつです。
必要な期間も、一人ひとり違います。
しばらくの間だけ必要な子もいれば、成長とともに形を変えながら長く続く子もいます。
どうして医療的ケアが必要になるの?
医療的ケアが必要になる理由は、ひとつではありません。
- 早く生まれたことによる影響
- 生まれつきの病気
- 心臓や脳、神経・筋肉の病気
- 呼吸や飲み込みに関わる障害
- 事故や感染症のあとに残った影響
など、背景は本当にさまざまです。
医療の進歩によって、以前なら長く入院が必要だった子どもたちも、おうちで家族と一緒に過ごせるようになってきました。これはとても大きなことです。
ただその一方で、おうちで安心して暮らしていくためには、医療だけでは足りません。
福祉や保育、教育、地域の支えがつながることが、とても大切になります。
どんなケアがあるの?
医療的ケアにはいろいろありますが、主に「呼吸」「栄養」「排泄」などを支えるケアがあります。
呼吸のケア
呼吸を助けるために行うケアです。
- たんの吸引
- 酸素療法
- 人工呼吸器の管理
- 気管切開部の管理
栄養のケア
食べたり飲んだりすることが難しいときに行います。
- 鼻から入れるチューブでの栄養
- 胃ろうからの栄養
- 水分や栄養剤の注入
排泄やその他のケア
毎日の生活を整えるために必要なケアです。
- 導尿、浣腸
- 人工肛門の管理
- インスリン注射
- お薬や医療機器の管理
どれも、特別なことというより、
その子が安心して毎日を過ごすために必要な支えです。
医療的ケアがあっても、地域で暮らしていける
医療的ケアが必要だと聞くと、
「ずっと家にいないといけないのかな」
「外に出るのは難しいのかな」
と不安になる方もいると思います。
でも、医療的ケアがあっても、必要な支援につながることで、保育園や学校に通ったり、お出かけしたり、地域の中で暮らしていくことはできます。
もちろん、ご家族だけで抱え続けるのはとても大変です。
だからこそ、
- 医療機関
- 訪問看護
- 相談支援専門員
- ヘルパー
- 保育園や学校
- 行政の支援窓口
など、さまざまな人たちがつながって支えていくことが大切です。
医療的ケアは、家族だけでがんばるものではありません。
地域みんなで支えていくものです。
沖縄では、どこに相談できるの?
沖縄県では、医療的ケア児と家族の相談先のひとつとして、
沖縄県医療的ケア児支援センターがあります。
制度のこと、地域での暮らしのこと、保育園や学校のことなど、さまざまな相談につながる窓口です。
また、
- お住まいの市町村の障害福祉担当窓口
- 相談支援事業所
- 訪問看護ステーション
- かかりつけの医療機関
も、大切な相談先になります。
「何から相談したらいいかわからない」
「うまく説明できるか不安」
そんなときでも大丈夫です。
困りごとをきれいに整理してからでなくても大丈夫です。
まずは、かかりつけ病院の相談員さんや市町村の障害福祉担当、担当の相談員に相談してみること。それが安心への第一歩になります。
こんなときは、早めに相談しましょう
毎日のケアの中で、「いつもと違うな」と感じたときは、早めの相談が大切です。
すぐに主治医や救急に相談してほしいとき
- 人工呼吸器の調子がおかしい
- 気管カニューレや栄養チューブが抜けた
- 吸引しても苦しそう
- 顔色が悪い
- 意識がはっきりしない
早めに主治医や訪問看護へ相談してほしいとき
- 胃ろうや気管切開部のまわりが赤い、液がでてくる、においがある
- たんの量や色がいつもと違う
- 吸引の回数が増えた
- ケアの方法に不安がある
- 機器の使い方がわからない
「これくらいで相談していいのかな」と迷うこともあると思います。
でも、迷ったときほど、早めに相談して大丈夫です。
よくあるご質問
医療的ケア児と障害児は同じですか?
重なる部分はありますが、まったく同じ意味ではありません。
医療的ケア児は、障害の有無だけではなく、日常生活の中で医療的な処置が必要な状態に注目した言い方です。
ケアは家族だけがするのですか?
ご家族が中心になることは多いですが、それだけではありません。
訪問看護や福祉、保育、教育など、いろいろな支援者と協力しながら支えていくことが大切です。
どこに相談したらいいかわからないです
そんなときは、一人で抱え込まなくて大丈夫です。
沖縄県医療的ケア児支援センター、市町村の障害福祉窓口、相談支援事業所、かかりつけ医など、相談しやすいところからつながっていきましょう。
さいごに
医療的ケアは、特別なことのように見えて、
その子にとっては毎日の暮らしを支える大切なケアです。
そして、それは家族だけで背負うものではありません。
子どもと家族が、住み慣れた地域で安心して過ごしていけるように、医療・福祉・保育・教育がつながりながら支えていくことが大切です。
ゆくいこども診療所でも、子どもたちとご家族が、少しでも安心して毎日を過ごせるように、一緒に考えていきたいと思っています。
「うちの場合はどうなんだろう」
「ちょっと相談してみたいな」
そんなときは、一人で抱え込まずにご相談くださいね。

