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【小児科医が解説】一人で抱え込まなくて大丈夫。「医療的ケア児等コーディネーター」という伴走者を知っていますか?

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【この記事の3行まとめ】

  • 医療・福祉・教育など、別々になりがちな窓口の間に入り、支援の橋渡しを目指す「調整役」の専門職です。
  • まだ発展途上の仕組みで、地域や窓口によって手探りな部分もありますが、ご家族が一人で悩む状況を変えるための大切な存在です。
  • 「すべてをお任せ」ではなく、病院や学校、コーディネーターと一緒に「うちの子の生活」を作っていくチームの一員として頼ってみてください。

こんにちは、ゆくいこども診療所です。 医療的ケアが必要なお子さんを育てていると、こんな経験はありませんか?

「市役所に相談したら病院へと言われ、病院では学校に聞いてと言われた…」 「医療、福祉、教育…それぞれ窓口が違って、同じ説明を何度もするのがしんどい」

お子さんを支えるためには、医師や看護師だけでなく、福祉、保育、学校などたくさんの人が関わります。でも、そのたびにご家族が「次はこの人に連絡して…」と調整役を担うのは、本当に負担が大きいですよね。

そんなご家族の負担を減らすために生まれたのが、「医療的ケア児等コーディネーター」という存在です。今回は、このコーディネーターがどんな役割を目指しているのか、そして小児科医から見た「地域のリアルな現状」も含めてお話しします。

1. 医療的ケア児等コーディネーターって、何をする人?

一言でいうなら、「医療と生活の橋渡しをサポートする、調整役」です。

お子さんとご家族が必要とする支援は、病院(医療)、障害福祉サービス(福祉)、保育園(保育)、学校(教育)など、さまざまな分野にまたがります。コーディネーターは、都道府県などが実施する養成研修を修了しており、この複雑な分野の間に入って情報を整理し、関係機関同士をつなぐ役割を担うことが期待されています。

2. どんな相談ができるの?

「何を相談したらいいのか分からない」という最初の段階から、一緒に頭の中を整理してくれます。

  • 「どんなサービスが使えるの?」 (訪問看護、放課後等デイサービスなど、お子さんに合いそうな支援を一緒に探してくれます)
  • 「病院と学校(保育園)で連携をとってほしい」 (主治医の意見を学校に伝えたり、関係機関の間に入って会議の調整をしたりしてくれます)
  • 「卒業したらどうなるの? 将来が不安…」 (18歳以降の支援など、大人になってからの生活を見据えた相談にのってくれます)

3. 【重要】知っておいてほしい「今の地域のリアルな現状」

ここまでコーディネーターの「理想の役割」をお話ししてきましたが、現場の小児科医として、ご家族に知っておいていただきたい【リアルな現状】があります(地域差があります)。

実は、このコーディネーターという仕組みは、地域社会の中でまだまだ「発展途上」です。

医療と教育(学校)など、まったく違う文化を持つ機関をつなぐ調整は難易度が高く、コーディネーター自身も「どう動けば一番良いのか」と手探りで悩み、奮闘していることも少なくありません。市町村によっては、まだ上手く活用できる体制が整い切っていないこともあります。

そのため、「コーディネーターさんに相談すれば、魔法のように全部解決してくれる!」「全部お任せ(丸投げ)できる!」と期待しすぎると、「思っていたより動いてくれない…」ともどかしさを感じる場面もあるかもしれません。

コーディネーターは「何でも解決してくれる人」というよりも、「ご家族が一人で孤独に迷わないよう、一緒に悩み、一緒に走ってくれる伴走者(チームの一員)」と考えてみてください。

4. だからこそ、2027年に向けて国も体制を強化しています

現場がまだまだ手探りで大変だからこそ、国も動いています。 2027年4月には関連する法律の改正が予定されており、「市町村がコーディネーターの配置を進め、地域全体で相談体制をさらに強化していく」という方向性が示されています。

まだまだこれからの仕組みですが、国や地域をあげて「ご家族が一人で調整役を抱え込まなくていい仕組み」を育てていく方向へ、少しずつ進んでいます。

5. どうやったらコーディネーターにつながれるの?

「まずは相談してみたい」と思ったときは、次のような手順で声をかけてみてください。

  1. 【まずはここから】現在担当の「相談支援専門員」さん
  2. すでに福祉サービスを利用していて担当者がいる場合は、まずはその方に相談してみてください。(実はすでにコーディネーターの資格を持っていたり、必要な専門機関へスムーズに繋いでくれたりします)
  3. お住まいの市町村の窓口(障害福祉・子育て・保健の担当など)
  4. かかりつけの小児科や主治医

【🌺沖縄県にお住まいの方へ】 どうしても困ったときはここに相談。

沖縄県には、ご家族からの相談にのってくれる専用の窓口があります。

  • 沖縄県医療的ケア児支援センター(沖縄南部療育医療センター内)
  • 📞 電話:098-894-6820(受付時間:平日9:00〜17:00)
  • ※お問い合わせ前に、最新の連絡先・受付時間を沖縄県の公式サイトでご確認ください。

6. よくあるご質問(FAQ)

Q. コーディネーターさんには、どうやったらなれるんですか?(どんな人がなっているの?)

A. 都道府県が開催する「専門の養成研修」を受ける必要があります。

すでに相談支援専門員や保健師、看護師、社会福祉士などとして現場で経験を積んでいる方が、沖縄県などが実施する「医療的ケア児等コーディネーター養成研修」という専門カリキュラムを修了して、はじめて活躍できるようになります。すでに医療や福祉の現場をよく知る「経験豊富なプロ」が担当してくれています。

Q. すでに担当の「相談支援専門員」さんがいるのですが、何が違うんですか?

A. 「医療が絡む連携」に強いかどうかが、違いのひとつです。

相談支援専門員さんは主に「福祉サービス」の調整が中心になることが多い一方、コーディネーターは、主治医や訪問看護などの「医療」と「学校・保育園」をつなぐ複雑な調整について研修で学んでいます。(※担当の相談支援専門員さんが、コーディネーターの養成研修も修了しているケースもよくありますので、まずは担当者さんに聞いてみてくださいね)

Q. 相談するとお金(費用)がかかりますか?

A. 相談そのものは【無料】としている窓口が多いです。

実際にサービスを利用する段階になると利用料などが発生することはありますが、「相談すること」自体はお金がかからないことがほとんどです。

最後に、小児科医からお伝えしたいことがあります。 「コーディネーターさんも大変そうだから、やっぱり私が全部やらなきゃダメなんだ…」とは、どうか思わないでくださいね。

大切なのは、ご家族が一人で抱え込まず、SOSを出せる相手(チーム)を複数持っておくことです。 私たち「かかりつけ医」、学校や保育園の先生、訪問看護師さん、そして担当の「相談支援専門員さん」や「コーディネーターさん」。みんなで、お子さんを真ん中にした一つのチームを作っていくことが目標です。まだまだこれからの地域の仕組みですが、みんなで一緒に育てていきましょうね。

※参考情報:こども家庭庁「医療的ケア児等とその家族に対する支援施策」、沖縄県「沖縄県医療的ケア児支援センター」など

ABOUT ME
宮城 大雅
宮城 大雅
ゆくいこども診療所 所長
3人の男の子のパパで、趣味は子育てと筋トレ。子ども達との遊びをこよなく愛する小児科専門医です。障がい児・者医療に携わり10年以上が経ち、子どもたちが笑顔でいられる医療とサポートを、これからも大切にしていきたいと考えています。
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