ゆくいこども診療所のホームページへ行く

【院長コラム】医療・教育・地域が手を取り合って。ある医療的ケア児の「自立」と「学校の成長」の3年間

yukuikodomo

こんにちは、ゆくいこども診療所 院長の宮城です。

本日は、当院でサポートしているお子さんが通う「A小学校」の校内委員会に出席し、教職員の皆様に向けて救命講習会を行ってきました。

私にとって非常に感慨深く、大きなやりがいを感じる「良き日」となりましたので、今回はあるお子さんと学校が歩んだ、この3年間の軌跡をコラムとしてお話ししたいと思います。

3年前の不安から、驚くべき成長へ

そのお子さんと関わり始めたのは2年前、今年で3年目になります。 当初は気管切開をしており、酸素や人工呼吸器、そして常に看護師の付き添いが必須な状態でした。学校側も、受け入れに対してまだ不安が大きかった時期です。

しかし、子どもの生命力と成長は本当に素晴らしいものです。 身体の成長とともに呼吸器や酸素が必要なくなり、知的な発達も見られ、今では学級の友達と一緒に遊ぶ姿が多くみられています。かつては「障害」という言葉のしがらみが多く、前に進むのも少しずつでしたが、今はその枠に縛られることなく、周囲と共に一歩ずつ力強く進んでいます。

医療の手を少しずつ離れ、自立のステップへ

医療・教育・行政が手を取り合った自立支援が実を結び、今後の見通しも大きく変わりました。 看護師は「巡回型配置」へ移行し、来年からは専任の看護師配置をなくし、医療がすぐそばにいない状態での学校生活がスタートする予定です。

もちろん、日常的な医療の手が離れることに対して、教職員の皆様にはご不安があります。そこで本日、万が一に備えた救命講習会をお手伝いさせていただきました。

学校が「ひとつのチーム」になった瞬間

講習会には議員さんも見学に来られるなど、地域からの注目度の高さも伺えました。 何より私の胸を打ったのは、教職員の皆様の姿です。担任の先生が一生懸命にその場を仕切り、後ほど聞いたのですが「これを自立支援の研究としても頑張りたい」と前向きな言葉をくださるなど、学校全体で「この子を守り育てるんだ」という熱意に溢れていました。

2年前の不安げな様子から一変し、今や完全に「地域のこども」として受け入れられていることを肌で感じました。養護の先生からも「他校と比べても、うちの学校のサポート体制がいかに充実しているかが分かりました」と心強いお言葉をいただき、本当に嬉しく思いました。

これからの課題と、変わらぬ伴走

日常的な介助(医療的ケア)の頻度が減ったとしても、その子の人生のそばに医療があること自体は変わりません。 今後は、子ども自身が自分の身体や障害について正しく理解し、本当の意味で「自立」していけるよう、引き続き医療の立場から伴走していきたいと考えています。

3年という月日を経て、子ども自身が変わり、そして周囲の大人たちや環境までもが変わった瞬間を共有できたことに、心から感謝しています。これからも地域と手を取り合い、子どもたちの未来を支えていきたいと思います。

ABOUT ME
宮城 大雅
宮城 大雅
ゆくいこども診療所 所長
3人の男の子のパパで、趣味は子育てと筋トレ。子ども達との遊びをこよなく愛する小児科専門医です。障がい児・者医療に携わり10年以上が経ち、子どもたちが笑顔でいられる医療とサポートを、これからも大切にしていきたいと考えています。
Recommend
こんな記事も読まれています
記事URLをコピーしました